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希望の灯を目の当たりにした記憶 / Phantom Quest(ファントムクエスト)感想

※当然のようにネタバレです。
アーカイブ期間終わってから記憶に頼って書いてるので、台詞とか歌詞の引用とか間違ってたらごめんなさい。
※ざっと書いたので勢いで上げてしまいますが、気が向けば追記するかも(→11/23ちょっと加筆)




初見で思ったのは、これは、キャラクター、というか、もっと言えば、それを担うキャストを輝かせるための作品だなぁと。

私は、このお話は、エンターテインメントは人の生きる希望になる、その希望の灯を絶やしてはいけない、っていう話だと思って見てました。
主人公と言ってよさそうなディアナからしてまず「看板俳優」だし、そのバルト一座の存在とか、歌って踊ることでフィーネの心を開かせようとする場面とか。物語の重要なところで「Show must go on!」っていうテーマが出てきたり。
後輩組だけで「初めてのクエスト 思い出のクエスト 忘れられない」と歌う歌の「クエスト」は「ステージ」や「ライブ」を置き換えてるっていうのはずっと思っていて、見る度に胸が熱かった。この歌の最初でマルコ・ポーロが歌う「大人に交じって背伸びして でも何も出来なくて」とか聴くと、オーディション~Maze no.9ツアーのオープニングアクトとかその夏のDDPとかの頃のパラゴンちゃん思い出してしまう(いうて彼等みんなそこそこ器用なので全然「何も出来なく」なんかなかったけれども)。
個人的には、終盤のジャスパの台詞「何をもってそのクエストは評価されるのか? 獲得した財宝? それとも……?」のところの「クエスト」も「ステージ」だと思って聴いてました。その後にボニート・ルーカスの成長の話が来るの良かった。「いい記事って、なんだろ。そりゃ、売れる売れないは大きいけどさ」というジャスパに対して、ルプスが「僕の人生を変えたのはテラタイムズの記事です!」って語るくだりも、あの4人のジャスパそれぞれにこの台詞を言わせた意味……とか考え始めると面白いです。トレハン達とはまた違う次元にいる人の物語。
何より、死んでもおかしくないような危険な目に遭うことも、再会した時には推し(ディアナ)に自分の記憶が無いこともわかっていて、5年後の公演を楽しみに生き延びるフィーネ。その先の舞台と推しとの再会のために、いま自分が在るべき場所でやるべきことをやる、って、考えたらすごく象徴的ですよね。考え過ぎかな。

だから、この作品で、エンターテインメントを生業とする彼等が舞台で輝いてる、それを自分が目の当たりにすることができる、という事実がとても眩しくて幸せでした。ちょっとメタな見方過ぎるかもしれないけど。


その眩しさに負けよう、と思って、タイムループの緻密な時系列とかパラドクスみたいなところの細かな設定は、深追いするの止めようと初見で決めてしまいました。
なので、そのあたりの考察とかは特にしてないです。不真面目なオタクですいません実はそういうの得意じゃないんです……推理小説を全然推理せずに読むタイプ……




そういう訳で、以下特に書きたいキャラクター・キャストについてだらだら書きます。


【ゼノ(ジーニ) / にーちゃん】

とにかくかっこよかった!
歌は以前からの安定感に凄味や渋味が加わって鳥肌が立ちました。ディアナと2人で歌う「物語は人の数」のハーモニーもめちゃくちゃ好き。元凄腕のトレハンで警察官という立場や過去を滲ませる佇まい、葉巻やスキットルの扱いなど、細部に渡るまでダンディーでかっこよかったです。
個人的に、もしキャラクター人気投票が実施されたら、シレオの最大のライバルはゼノだと思ってました。えっ私のTLだけの現象なのあの圧倒的な(シレオもだけど)ゼノ人気……? そんなことないよね……?


アウラ / ぱっち】

ミュージカル初めてとか信じられない程の大活躍!! いやーーー嬉しい!! 素直にめっちゃ嬉しかった!! 序盤の劇中劇とかその中での殺陣とか、その後の場面もずっと終始、舞台を自由自在に動き回ってて、もういっそ頼もしかった。強いな~!
本人のパブリックイメージに比較的近いキャラクターで(個人的には中身そのままとは思ってないしそこが好きなんだけど)、かえって難しい面もあったんじゃないかと思うのですが、真面目で何かと不憫だけど愛らしいアウラを軽やかに全身で表現していて文句無しに素晴らしかった。アウラはかわいいけど、それを完璧に演じきった彼はかっこ良かったです。
しかし、さすが「有能」の二つ名を持つ男というか、本当に器用で何でもできちゃう子なんだな……その裏にはもちろん並々ならぬ努力とかあるんだろうとは思うのですが、あまりにアウラが完璧だったので、いつかもっと苦労する役も見てみたい、と思ってしまう。オタク強欲でごめんな。それこそドルイドに「君には一生かかってもできないような♪」とかいぢめられてた影のある役などどうですか先生。


【ジャスパ / 気まぐれプリンス(日替りキャスト)】

いやずるい。ずるいだろうお前。知ってたけどね、知ってるけどね天才だって!!
推しが日替りキャストで出演すると聞いた時、稽古期間中、レギュラー組に比べて明らかに稽古に参加してる時間が相当少なそうだと薄々わかってきた時、これは正直、実際どれくらい出番があるのか……?って半信半疑でした。
実際、稽古の時間が絶対的に少なかっただろうなっていうのは見ててわかったけど、それをものともしないというか、寧ろ逆手に取ったというか。あの自由度の高さで任されて、あのクオリティのエンターテインメントで応えるのさすが推しでした。自分の世界に作品の方を引きずり込んでしまうアイデアとパワーに溢れた換気タイム、まさに圧倒的気まぐれプリンス。
アドリブ的な力だけじゃなく、ソロで歌うレポートリポートは歌い出し2文字の跳ね上がりの晴れやかさでもう推しを確信する歌声だったし、普通に座ってる造形の美しさとか、もう何をやっても気まぐれプリンスだった。
いやだからまあ、天才なんだってば。知ってた。


【シレオ / あづ】

率直な感想を一言で言うと、「もっと期待すれば良かった」です。
9月のトークコールでミュージカル楽しみ!って話をした時、あまりに自信がなさそうだったので、あ~~いくらライブパフォーマンスで「表現力の鬼」の名を欲しいままに(本人が欲しがってたかどうか知らないけど)してきた彼でも、ミュージカルは、というか演技の仕事ほぼ初めての筈だし、流石に最初からあまり期待しちゃ悪いか~~今回はハードル上げすぎないで挑戦を見守るつもりで、とか思ってたのですが。
おいおいおいおい私のなけなしの親心を返せや。まごうことなく天才じゃねぇか。って思いながら初日を見ました。
彼がこれまで言われてきた「表現力」は、感情とか、どちらかというと人間の弱い部分をステージで暴き、さらけ出す力の強さだったと思っていて。対して、シレオというキャラクターは弱い所を決して人に見せない。いわば彼は、自分の最大の武器を封じた状態で、シレオの背負っている物語に思いを馳せたくなるところまで観客を惹きつけた。
なんていうか、私は推しを過小評価していた、と痛切に思いました。もっと期待すれば良かった。
声も表情も身体の使い方も、普段の本人の面影が一切消えててただシレオだった。役者!! キャストの本業はアイドル、観客のほとんどがアイドルとしての彼等のファンという状況で、「アイドル『あづ』」を感じさせず役になりきって舞台の上で生きられる、且つそれでいて、あれだけ客席を沸かせる人気キャラクターを構築したの、稀有な資質だと思う。自慢の推しです。





キャストがみんな口々に「完走できるのは奇跡だと思っていた / 言われていた」というご時世の最中の舞台で。
奇跡を起こしてくれたこと、エンターテインメントの灯を消さずにいてくれること、
推しが推しでいてくれること。

幸せだなと思うし、生きてて良かったと思いました。見られて本当に良かったです。
お疲れ様でした。

Show must go on!