(仮)

好きなことを好きなだけ語るためのブログ

3月・青春・「愛愛愛」・ちぇりっしゅめもりーず

激しくて美しい3月だった。
「誰もが『青春』と呼ぶ」ような、又は、「惜しまないフルの愛情を示すことくらいできる」と見せつけるような。



パンダドラゴンの2021年3月は、

祐矢くんの卒業と、その卒業公演のZepp Tokyoでの開催が決まっていて、
アルバム『MARCH』と、昨年1月から開催された2nd.ツアーのファイナルBLAZE公演のDVD発売、加えて、池袋サンシャインシティ噴水広場でのフリーライブと、ホワイトデーイベントを抱えているという、
……まあなんていうか、普通のアイドルなら1年とか半年かかるドラマを早回しで1ヶ月に詰め込んだみたいな、凄まじい1ヶ月だった。まるで、この1年間止まってた時間を一気に取り戻しにかかってるみたいだ、と思った。

Cherish memoriesは、そのパラゴンの最新アルバム『MARCH』の発売記念イベントだった。
3月、毎週金曜日の夜に行われたそのライブは、1時間を超えるセットリストが組まれ、毎回新しく披露される最新アルバム収録曲だけでなく、これまでのオリジナル曲あり、繋ぎのダンスパートを付け加えたメドレーありの、ツアー公演さながらのボリュームで。しかも、ツアーとほぼ同規模のグッズ制作・販売まであった。オリジナルTシャツ、メンバーカラータオル、アクスタ(しかも2種類!)。

この3月、
例えば、ライブはホワイトデーとサンシャインとZeppだけにして、後はイベント入れるとしてもアルバムとDVDのリリイベでオンライン特典会とか、それでも誰も文句は言わなかったと思う。というか、ここ1年のことを思えば、そんな感じのスケジュールの方がむしろ自然に思える。時間的にも、体力的にも、それから、詳しいことはよく分からないけれど、恐らく経済的にも。野崎さんがいつか配信で喋っていたように「ライブ自体はチケットが完売しても赤字が普通で、特典会やグッズ販売で利益を出している」というのが基本的構造なのだとしたら、パラゴンのこの3月は、物凄い挑戦だったんじゃないか、と思う。
それでも、どう考えても無茶な計算で勝算を弾き出し(たんだと信じてる。信じたいだけかも。)、ありったけのライブを詰め込むことを選ぶ彼等が、私はとてもとてもとても好きだ。このチームが目指したもの、その指向性も、戦略も、それが実現できてしまう若さと強さも。



何せ、「パラゴン史上最強セトリ」と謳ったライブ、個々の演目について語り始めるときりがないのだけれど、でもどうしても語りたいので。さしあたり、アルバム新曲について、いくつか書いておこうと思う。

……前置き長ぇよ。でもここからも長いですごめんな。



■(超)あいどる道中膝栗毛
(Lyrics & Music : ゆーき(GRANDSTAND))

歌詞と歌割が素晴らしくて、全フレーズ語りたい1曲。ちぇりめも初日のド頭に持ってくる曲としてあまりに最高だった。運命。

まず冒頭、「~~辿り着く先は天国か地獄か」という語り、ようたくんの使い方わかってる!!と思う。たとえ地獄でも行ってやる、という覚悟を語れる人だ。強い!

間奏の♪アイアイアーーイってかけ声の表記が「愛愛愛」なの、解釈一致すぎて愛しかない。ここ指ハの振り付けもめちゃ好きです。そう、この曲は、つまり愛の歌だ。理想のアイドルには「可愛さだけがあればなれるかって?」と問うたいがちゃんに対して、「愛がなきゃなれやしない」ってなぎちゃんが返すの、すごい世界の真理!って感じする。すごい。

1番Bメロの歌割も抜群に秀逸。「悲しませるなんてアイドルとして駄目だわ」があづくん、「理由(わけ)があるにせよ」が祐矢くんなのしんどい!!!!し、「でも必ず笑顔を約束する」を切ないくらいに懸命に歌うなるきくんの切実な歌声がめちゃくちゃに刺さり、そして、ぱっちくんの「君の1秒をくれないか」。
1秒くれたら笑顔にしてみせる、って物凄い自信! というか、これを言い切ってしまえるのは、アイドルとしての「勇気」だと思う。ぱっちくんにこういうこと言われると、嬉しくなってコロッと信じてしまうのは、その度に、この「勇気」に惚れ直してしまうからだよ。やっぱりこの人は、強くてかっこいい。とても好き。

ぱっちくんのキャスで、この曲は旅をしていて、2番が「海中」の場面、続く3番が「地獄」の場面、と聴いてしまってから、スーパーマリオだ!と個人的にはなってるわけですが、やはり特筆すべきは3番でしょうか。推しのターンありがとうございます。
「ぶっ放せ愛をもっと頂戴~~」、推し贔屓と言われようがなんと言われようが、完全に、あづくんのためのパートとしか思えない。これだけ激しく闇をさらけ出す表現をしながら尚、王道アイドル指向の強いこのグループの中で違和感なく、ステージでアイドルとして輝きを放てる彼の「華」の在り方とバランス感覚、わりと特異な才能なのではないかと思ってる。
「ぶっ放」してるのは、地獄から帰還するための大砲なのかな。最終兵器感やばい。ここはZeppファイナルが最高に良かったな~~!! どうか円盤化、よろしくお願い致します。

愛に溢れたアイドル論、アイドル哲学に貫かれた傑作です。世のドルオタみんなに聴いて欲しい。名曲。


■SONOKI
(Lyrics & Music : 阿久津健太郎)

「年下だってバカにすんな 抱きしめるくらい出来る」、そう!!!! パラゴンに!!!! これを歌って欲しかった!!!!!!

この「抱きしめるくらいできる」の歌割が、1サビはなぎちゃん、ラスサビはぱっちくんで、どっちもめっちゃ好きです。なぎちゃんはわりと「ふふん!」って感じの余裕を見せる的な歌い方で、成長を感じつつ、でもやっぱり可愛くて微笑ましい。対して、ぱっちくんは、もっと違うステージで相手を見てる、と思う。本当は抱きしめるくらいじゃなくて、もっと出来るんだって言いたいのに、「抱きしめるくらいできる」と言うしかない、苛立ちやもどかしさを感じる歌い方。好き。

『MARCH』は全編通して、「パラゴンこんなことも出来るんだぞ!」を見せつけるアルバムで、これはその1つの象徴みたいな曲だと思ってる。これまで、パラゴンのセクシー曲といえばBAILAとNANANAで、最近は2曲とも、発表当時と別の曲ですか?っていうくらい濃厚な大人っぽいパフォーマンスになってはいるんだけど、その「色気」の進化、深化を印象づける曲が『SONOKI』。
この曲のメインは祐矢くんで、9月にソロガチャで自ら「得意分野」と言って選んでた『セレナーデ・セレナーデ』を思い出します。でも、あの時と比べ物にならないくらい、この3月、彼の歌は進化してて凄かった。こういう曲の歌い方、確立したんだなって思う。
ほぼサブメインと言っていいくらい、あづくんの歌割が美味しい曲でもあって、落ちサビもだけど、2番の巻き舌がめっちゃ良い。曲全体のアクセントになる歌い方ができる人がいるの強い。

それから、これは個人的な趣味の話なのだけど、そもそも私は、アイドルの歌うラブソングを「アイドルとファン、オタクの関係」に置き換えて聴く系の解釈がとても好きで。癖と言ってもいいかもしれない。『Flower Wind』も『大逆転ディーラー』も、『真逆の糸』、『Your ID』もそうやって聴いてきたし、『Spare key』とか『Love me do』とかは事務所の2番手グループがこの歌詞を歌うからこそ好きみたいなとこある。
だから、この『SONOKI』も、ラブソングとして聴いて胸を疼かせときめいた上で、アイドルとしての彼等の立ち位置を踏まえた挑戦の歌として聴いて沸くことも出来る、ひと粒で二度美味しい曲だと思って聴いてる。「その気もないくせに甘いキスをしないでよ」って、要するに「パンドラの箱 開けたら最後まで責任持てよ」と同義ですよね。

直截的に言うと、イルミィさんとかでパラゴンをチラ見してるひと全員に、刺され!!と思ってる曲です。
どうですかね? パンダドラゴンはいいぞ?


■愛されキャラでごめんなさい
(Lyrics & Music : ゆーき(GRANDSTAND))

自分の中で、なぎちゃんの好き度を爆上がりさせた曲。他の曲は、「誰々がメインです」って言われてても、まぁ言われてみれば……って感じだったんだけど、この曲だけは明らかに、なぎちゃんのための曲!って思った。

ふわふわした可愛くて楽しい曲で、それこそ絶対に笑顔になってしまう。それでいて、実は歌詞が鋭く人生の真理!で、そういうところ正になぎちゃんっぽい。すごいことを、すごいと思わせずにいつの間にか自然にやっていてしまう、それってめちゃめちゃすごいことだよ。

それで、なぎちゃん以外のメンバーが目立たないのか?というと、そうじゃなくて。「お兄ちゃんしてる推し」って尊いですよねわかるわかる。
「大きな声で言ってやれ」とか、「独りだけ置いていかないぜ」とかのあづくんの優しい歌声を聴くと、あーーーーそうだこの人は置いていかない人だった!って思うし、「不安も全部捨て去って」がぱっちくんなのとか、「下ばっかり見てると空の青さにも気づけないぜ」が青組ハモなのとか、なるきくんのセリフ、「(時々見せる涙は)塩辛いね」とか、いちいち歌割が天才の所業。確か童話『眠り姫』の冒頭で、妖精たちが、産まれたばかりの姫にそれぞれの力で色んな祝福を与えるみたいな場面あるじゃないですか? それを思い出します。

愛されろ!!ってなる曲ですよね。全ての推しに聖誕祭とかでソロで歌ったりして欲しい。
愛されろ!!!!!


■ジュマペリゼ
(Lyrics & Music : GAKU)

「パラゴンこんなことも出来るんだぞ!」を見せつける曲その2(個人的見解)。

一見トンチキだけど、難解な曲だと思う。
この曲のパフォーマンスを完成させるには、多分、「笑わせよう」と思いすぎてしまったら駄目、というか、ギャグとかコメディだと思ってやってしまったら駄目で、ダンスのポーズの造形や群舞が美しくなきゃいけないし、歌はミュージカルだし、真面目に演技力も必要で。あくまで真剣に美しく歌って踊ってやりきってこそ、あの面白さ、味が出るんだと思ってる。パンダドラゴン、その塩梅が絶妙で素晴らしい。めちゃ好き。
……全然上手く言葉で説明できないので、とにかく見てくれ。私はずっとこの曲をパタリロだって言っていて、誰にもわかって貰えないのですが、いつか誰かに伝わればいいなと思ってるのでここにも書いておきますね。パタリロです。誰が殺したクックロビン。

確か祐矢くん曰く「失恋ソング」だけど、なるきくんのセリフの「僕はずっと描き続けているよ」だけじゃなく、1番の「見上げた空は本物と見まごう青が揺れている」とか「何次元だとか最早 誰が気にするだろう」とかを聴くと、なんとなく、もう少し不穏な、ちょっと怖い歌なんじゃないかな、と妄想したくなったりしますね。私は、そもそも実在しない人物、自分で描いた絵の中の美少年「ルイ」に恋をしてしまった人の歌なんじゃないか、と妄想を拡げて聴いてます。そういう「ちょっとおかしな天才」みがあると思う、歌詞も曲も振付けも。あづくんの「目覚めた後もそばにいてよ S'il vous plait」の歌い方とか、絶対に正気じゃない。……偏見か。そうか。でもとても好きです。


■桜Ambitious
(Lyrics & Music : 阿久津健太郎)

ずるい。

それ以上に、この曲を的確に評する言葉があるだろうか。ずるい。全力で泣かせるための、オタクが、そしてメンバーも、思う存分泣けるように作ってある卒業ソング。

だいいち歌詞も歌割もいちいちずるい。
「誇り」はあづくんが1st.ツアーで「得たもの」を評するのに使った言葉だし、実際に大喧嘩した過去を隠さないゆやたみの「喧嘩もしたし歓び分かち合った」、他メンバーがミュージカルで不在だった時期に青組として祐矢くんとのパートナーシップを培ってきたたいがちゃんの「涙と汗も」。
振付けもずるい。間奏の1人ずつ踊り繋いでいくパートも、ぐるぐる追いかけっこする振りや、サビの拳を振り回し約束の指を立てる振りだって、感情なしに踊ることは不可能な振付けだ。

4公演+ファイナル、この曲には、泣きたいだけ泣かせて貰った。
初日から落ちサビの祐矢くんで泣いて次の自分の歌割さえ儘ならなかったなるきくんも、最初はなるきくんを隣で励ます役だったのに、後半の公演は何だよお前も泣いてんじゃねえか!だったあづくんも、ツイキャスで「泣いたらほかのメンバーにアイス奢ることになってる」って軽やかに暴露しておきながら自分も目がキラキラしてたぱっちくんも、ずっと堪えてたのに最後は信じられないくらいボロボロだったようたくんも、とても冷静に見ることなんてできなかった。

そして、
みんなみんな「ずっとずっとこのままで居たい」のに、「行かなきゃ」を背負って歌ってくれるのは、ぱっちくんだった。
彼は、この先のパンダドラゴンを「第二章」だと、しきりに口にする。第一章は無かったことになる訳では決してない、でも、「行かなきゃ」なのだ。



どうして、「ずっとずっとこのままで居たい」のに、居られないんだろうか。





祐矢くんの卒業については、



自分にはどうしても、やっぱり分からないことが多い。
いつか分かることがあるのかもしれないし、ずっと分からないままなのかもしれない。分からなきゃいけない、とは思ってない。
でも、この卒業を、彼等(祐矢くん本人も、メンバーも、スタッフさんたちも、楽曲や振付けを作った人たちも)が、どういうものとしてファンに対して見せたいのか?っていうのは、4公演とファイナルですごく伝わったし、それはとても幸せな「アイドルの卒業」だったので、良かったなぁって思います。
この先何があっても、Zeppファイナルが素晴らしい公演だったことは、間違いなく事実だから。

Zeppファイナル、メンバーが祐矢くんへのお手紙を読むくだり、
みんな口々に、「本当はずっと一緒にいたい」「卒業なんてしないで欲しいのが本音」って言っていて、それにすごく救われた。
辞めないで欲しい、って、自分は言える立場にいない、と、ずっとずっと思ってきた。辞めないで欲しいけど、自分はその後の彼の人生の責任を取れる立場じゃないし、どの選択がいちばん幸せかを判断できる立場でもない。そもそも、色々考えて、散々話し合って決まったからこそ、発表されたんだろうと思うと、発表されてからファンが何を言ったって、何も変わらない、と思っていた。
だから、言える立場にいた人達が全部言ってくれて、めちゃくちゃ救われました。ぐしゃぐしゃに泣きながら「結構変な人です」と笑わせたあづくんの「ずっと変わらずパンダドラゴンでいて欲しい」とか、「この手紙を僕は泣かずに読めているでしょうか」としっかり仕込んでるなるきくんの「自分は頑固に、祐矢はパラゴンにいた方が幸せだって考えてしまって」とか。自分の手紙を読む時は、涙を堪える表情や仕草さえエンターテインメントに仕上げてしまう天才たいがちゃんが、自分の番が終わって他のメンバーの手紙を聴いてる時の方がずっと辛そうに泣いている姿もすごく刺さった。
そういう気持ちの人がたくさんいることは踏まえた上で、それでも、の決断だったんだな、ということは少なくとも分かったので、それはとても、良かったです。


そこそこいい大人の癖に、全然おとなげのない意地っ張りなオタクなので、ずっと応援するとか約束できない、って言い続けてるし、その舌の根も乾かないうちに、次のライブ楽しみとか未来が見たいとか軽率に言ったりもして、オタクなんて身勝手な生き物だ。
けど、たぶん大丈夫だよ。
だって今日も、こんなに好きだぜ。




濃密で幸福な3月だった。とても。

でも、戻りたいとは思わない。ね。